「不動産オーナーへの憧れ」から一歩踏み出し、実際にREIT(不動産投資信託)を運用してみた結果、私は2023年1月にすべての保有銘柄を売却しました。
今回は、私がなぜREITをポートフォリオから外す決断をしたのか、その理由と「不動産投資の代替」としてのREITの限界についてお話しします。
1.「安定」というイメージと、現実の乖離
当初、私がREITに抱いていたのは「アパート経営のような安定感」でした。家賃収入をベースにした安定した配当があり、価格変動もマイルドだろうという期待です。
しかし、実際に「たわらノーロード 国内REIT」を2019年から約3年半運用して見えてきたのは、予想とは異なる景色でした。
・激しいボラティリティ:
株式市場が冷え込む際は、REITも容赦なく売られます。ミドルリスク・ミドルリターンどころか、株式と同等の価格変動リスクを感じました。
・物足りない配当利回り:
リスクの割に、得られる分配金が「それほど魅力的ではない」というのが正直な実感です。
2. 分散投資としての有効性への疑念
投資の定石では「資産の分散」が推奨されますが、REITと株式の相関性は意外にも高く、株が下がる局面でREITが踏みとどまってくれる「逆相関」のメリットを享受できる場面は限られていました。
さらに、商品開発側の視点で一歩踏み込んで考えると、以下のような構造的な疑念も湧いてきました。
・物件の質:
「本当に超優良な物件なら、REITに組み込んで他人に利益を分けるより、自社で直接運用して利益を独占するのではないか?」
・利害関係:
運用会社と投資家の利益が、常に一致しているとは言い切れない側面があるのではないか。
3.「不動産への憧れ」と「金融商品」は切り離すべき
管理人の失敗の本質は、不動産オーナーへの憧れという「感情」を、金融商品の選択に持ち込んでしまったことにあります。
REITはあくまで有価証券であり、実物不動産投資とは別物です。もし「配当(インカム)」が目的であれば、現在の市場環境なら財務基盤の強い大手銀行株などの高配当銘柄で十分代用できる、というのが私の現在の結論です。
4. 今後の展望:金利上昇局面での慎重さ
これからのマーケットは「金利上昇」という、REITにとって逆風のフェーズに入ります。借入金で物件を購入するREITにとって、金利コスト増は分配金の押し下げ要因になりかねません。
最近では「みんなで大家さん」のような、投資家の心理を巧みに突いた商品も散見されますが、こうしたネーミングの妙に惑わされず、冷静にリスクとコストを見極める目が必要です。