現在、政府・与党内で2026年度の税制改正に向けたNISAの拡充案が浮上しています。2024年に始まった「新NISA」が定着しつつある中、さらなる「資産運用立国」への一手となるのか、その中身を深掘りします。
検討されている「2つの新枠」の正体
報道によると、以下の2つの枠組みが議論の遡上に載っています。
・こどもNISA(仮称)
18歳未満を対象とした枠。かつての「ジュニアNISA」は払出し制限がネックでしたが、今回は年間60万円(生涯600万円)の非課税枠を設け、成人後のライフイベント(大学進学等)に合わせて12歳から柔軟に引き出せる仕組みが検討されています。
・プラチナNISA(仮称)
65歳以上の高齢者層をターゲットとした枠。最大の特徴は、現行制度では除外されている「毎月分配型投資信託」を対象に含める点です。資産を「増やす」段階から、年金の補完として「使いながら守る」段階へのシフトを支援する狙いがあります。
管理人の視点:制度の「真意」をどう見るか
「こどもNISA」は、若年層からの複利効果を最大化できるため、非常に意義のある改正だと感じます。
一方で、懸念されるのは「プラチナNISA」です。 正直なところ、「手数料の高い商品を売りたい業界の圧力」を感じずにはいられません。毎月分配型投信は、元本を切り崩して分配金を出す「タコ足配当」のリスクもあり、知識のない高齢者が安易に手を出すと、資産寿命を縮める結果になりかねないからです。
なぜ「100円」から始められるのに「お金がない」と拒絶されるのか?
私が以前の職場でNISAやiDeCoを勧めた際、最も多かった反応が「投資に回すお金がない」という拒絶でした。
今の時代、ネット証券を利用すれば100円から積立投資が可能です。缶コーヒー1本分、あるいはスマホのプランを見直すだけで捻出できる金額です。それでも「別世界の話」に聞こえてしまうのは、金額の問題ではなく、「投資=大金が必要、かつ損をする怖いもの」という心理的な壁(損失回避バイアス)が原因だと感じます。
給与所得だけで物価高と長寿化を乗り切るのは、もはや至難の業です。将来への不安を口にしながらも、第一歩を踏み出さない。この「無関心の壁」をどう突破するかが、制度改正以上に重要な課題かもしれません。
【おさらい】2024年開始「新NISA」の3大メリット
改めて、私たちが今すぐ活用できる現行「新NISA」の強みを整理しておきましょう。
1. 投資上限額の圧倒的拡大
年間最大360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)まで投資が可能。生涯投資枠も1,800万円と、老後資金の柱として十分な規模です。
2. 2つの枠の「併用」で戦略的に運用
「つみたて」で土台を作り、「成長投資枠」でアクティブに運用するといった柔軟な戦略が可能です。ただし、ここでも「回転売買」を促すような営業トーク(業界の圧力)には注意が必要です。
3. 非課税期間の「無期限化」
「いつまでに売らなきゃいけない」という期限がなくなったことが最大の恩恵です。これにより、複利の力を数十年単位で味方につけることができます。
まとめ:制度に「踊らされず」に「使い倒す」
政府が新しい枠組みを作るのは歓迎すべきことですが、大切なのは「どの商品が自分にとって本当に必要か」を見極める力です。
新制度が「業界のための集金装置」になるか、「国民の資産を守る武器」になるかは、私たちのリテラシーにかかっています。まずは「お金がない」という心のブレーキを外し、100円からでも「自分のお金に働いてもらう感覚」を養っていきましょう。