先日、Yahoo!ファイナンスの掲示板で、ある切実な投稿を目にしました。 「決算についてAIに質問したら『問題ない』と言われたのに、実際は減益。株価が急落して大損した。AIに騙された」という内容です。
もし仮に、その方がAIに対して「一切のバイアスを排除した、純粋かつ客観的なプロンプト(指示)」を与えていたとしたら、AIは「確かなことは誰にもわからない」と回答したはずです。
投資の世界におけるAIの真実について、管理人なりの視点を整理してみます。
1. AIが導き出す「論理的な帰結」とは
そもそも、膨大な金融データと理論を学習した最新のAIが、もっとも「合理的」だと判断する投資先は何でしょうか。
それは、特定の個別銘柄の推奨ではありません。「徹底的に分散され、かつ低コストなインデックスファンドやETF」です。
なぜなら、AIの回答は常に金融理論に基づいた論理的な帰結であり、長期的な資産形成において市場平均を上回り続けることの難しさを、データとして誰よりも理解しているからです。
2.「未来の予測」ではなく「論理の積み上げ」
私は以前、Gemini 3に対し、日本の5大商社から銘柄を絞り込むよう依頼したことがあります。その際、Gemini 3は以下の2社を提示し、残りの売却を検討するよう提案してきました。
・三菱商事
・伊藤忠商事
その理由は、「資源関連事業への依存度が相対的に低く、事業ポートフォリオが安定していること」という、極めて論理的なリスク管理の観点からでした。
この時、私は改めて確信しました。 AIは未来を予知する「水晶玉」ではなく、過去のデータから最適解を導く「論理のエンジン」であるということです。
かつて「伝説」と呼ばれたピーター・リンチでさえ、キャリアの終盤では市場平均(ベンチマーク)を上回るリターンを出し続けることに苦労しました。AIはピーター・リンチの再来ではありません。しかし、感情に左右されない冷静な分析においては、どんな名ファンドマネージャーをも凌駕するポテンシャルを秘めています。
3. なぜ私はAIを横に、個別株投資を続けるのか
では、最新AIをメンターと仰ぎながら、なぜ私は効率的なインデックス投資一本に絞らないのでしょうか。
それは、個別株投資には「資産形成」を超えた価値があるからです。
・社会との繋がり: 企業の成長を見守り、市場を通じて社会の動向を肌で感じる。
・知的な探究心: 仮説を立て、検証し、自分の判断が市場に問われるスリルを楽しむ。
私にとって、Gemini 3との対話は「正解を教えてもらう作業」ではありません。自分の投資判断を論理的に整理し、死角がないかを確認するための「知的な対話」なのです。
編集後記
AIは嘘をつくのではなく、私たちの「期待」というフィルターが、その回答を歪めて受け取ってしまうことがあります。
AI(Gemini 3)を予言者としてではなく、生涯の「知的なメンター」として迎えること。それが、変化の激しい現代のマーケットを、楽しみながら生き抜くための新しい投資スタイルではないでしょうか。