「国策は買い」——投資の世界で長く語り継がれるこの格言。 現在、高市政権が掲げる「日本成長戦略会議」において、官民投資を促進する『重点投資対象17分野』が選定され、大きな注目を集めています。
そのラインナップは多岐にわたります。
AI・半導体、量子、バイオ、航空・宇宙、核融合、重要鉱物、防衛、フードテック、コンテンツ……。
まさに日本の未来を凝縮したような顔ぶれですが、一人の投資家として、私はこの熱狂に少しばかりの「危うさ」も感じています。
■ 期待が先行する「17分野」の現実
新分野が発表されるやいなや、関連銘柄には買いが殺到し、PERが40倍を超えるケースも珍しくありません。次々と設定される「テーマ型投資信託」も、市場の熱を煽ります。
しかし、冷静に中身を見てみるとどうでしょうか。 関連事業が現在の収益に与えるインパクトは極めて軽微であることも少なくありません。株式市場は「6か月先を織り込む」と言われますが、現状はあまりにも将来像を楽観視しすぎている、いわば「期待値のオーバーシュート」が起きているように見えてなりません。
■「点」ではなく「時間軸」で捉える
若い頃の私であれば、こうした目先のテーマに飛びつき、お祭り騒ぎに参加していたでしょう。 しかし、経験を積んだ今の視点は異なります。大切にしているのは、単なる話題性ではなく、「時間軸を考慮した企業業績の変化率」です。
その事業はいつ、どれほどの規模で利益に貢献するのか? それを冷徹に見極めることが、大火傷を負わないための唯一の防具だと考えています。
■ 究極の国策は「金利」にあり
そんな私が、個別株投資を続ける中で「最も確実性が高い国策」だと確信しているもの。 それは、ハイテクや宇宙といった華やかなテーマではなく、『日銀による金利政策(金利の上昇)』です。
17分野の成長は数年、あるいは数十年先の話かもしれませんが、金利動向は「今」の企業の収益構造をダイレクトに変えていきます。
「金利が上昇すれば、どの企業の業績が向上するか?」
このパズルを解くように銘柄を探す時間は、投資家としての至福の時です。派手なテーマに惑わされず、日本経済の地殻変動を捉える投資。私はこれからも、この視点を大切にしながら日本経済の発展を願っています。